天野将吾ブログ…天野通信〜ジラフの章

みんなのくらしと放射線展 放射線サマークラスに独り参戦

夏休み中の話(8月23日金曜日)です。科学連合のバーベキューのときに先生に誘われました。その後、物理同好会の活動としてやると言いつつも、ただ一人で調べ学習をしまくりました。発表も、共同研究者3人としながらも独り、当然不安と緊張をもって臨みました。テーマは、放射線の人体への影響。「放射性の種類・性質から簡易的な対策を考える」。自分が発表した内容と、寄せられた質問や先生からの講評…さらに、その時まともに答えられなかった質問の返答も掲載しようと思います。


放射線は、様々なところで役立てられていますが、大量に浴びてしまうと、人体に影響を及ぼすことがあります。このプレゼンテーションでは、私たちの体を放射線から守る方法を考えていきます。放射線といっても種類は様々で、その種類に応じた対策が必要になると思っています。今回は、原発の放射線を防ぐことを中心に説明していきたいと思います。

放射線は主に、α線、β線、γ線/X線と、中性子線に分かれています。α線は紙、β線はアルミニウムなどの薄い金属、γ線/X線は鉛や厚い鉄の板、中性子線は水やコンクリートなどで、それぞれ防ぐことができます。

それぞれの放射線の種類の性質を比較します。α線は、ヘリウム4の2価の陽イオンで、電離作用が強いため、体内に取り込んだときの内部被ばくが危険です。しかし透過力は小さいので、紙や数ミリの空気層で遮蔽できます。β線は、電子または陽電子が実態です。エネルギーを失うまでに長い距離を移動するため、α線の遮蔽と比べて厚い板で遮蔽します。それでも、数ミリのアルミや1センチ程度のプラスチックで遮蔽することができます。

γ線とX線は、波長が10ピコメートルよりも短い電磁波で、波長で区別することができないので発生機構で区別されます。放射線核種が崩壊したとき、原子核に残存しているエネルギーが、ガンマ崩壊しγ線を放出します。飛程が長いうえ電荷をもたないので、電磁気力を使って方向を変えられません。そのため、比重の重いもので遮蔽する必要があります。電離作用は弱いですが、DNAを傷つけ発がん作用を起こすこともあります。

中性子線については、中性子線を当てると、中性子は物質内の原子の原子核と衝突を繰り返し、そのうちエネルギーを失います。また、照射された物質を放射性同位元素に変化させることもあります。遮蔽は、中性子と同程度の質量をもつものと衝突させるのが効率的です。すなわち出来るだけ軽い原子が必要で、たとえば水素原子を多量に含む水などの厚い壁で遮蔽します。

では、原子力発電所から出る放射線核種は、主にセシウム137・ヨウ素131・キセノン133・クリプトン88ですが、先ほどのαβγ中性子のうちどれに該当するのでしょうか。セシウム137はベータ崩壊、ヨウ素131はベータ崩壊、キセノン133もベータ崩壊、クリプトン88もベータ崩壊を起こし、四つすべてがβ線を放出します。β線は、先ほども示しましたが、数ミリのアルミや1センチ程度のプラスチックで遮蔽できるため、対策は比較的容易といえます。

しかし問題点もあります。ベータ崩壊する際に高速で放出される電子や陽子をベータ粒子というのですが、ベータ粒子は、遮蔽物によって減速する時に、制動放射でX線を発生します。X線は、鉛や厚い鉄で遮蔽する放射線の種類です。制動放射とは、荷電子が急に減速させられたり進路を曲げられたりした時に電磁波放射を起こし、γ線/X線といった電磁放射線を出し侵入する現象です。制動放射は、遮蔽物に使われる物質の原子番号が大きいほど強くなります。逆に遮蔽物に使う物質の原子番号が小さいと、発生するX線の量は少なくなります。原子番号つまり電子または陽電子の数が小さい化合物であるプラスチックなどは、β線遮蔽に適切です。プラスチックは日常的に使われているので、β線の遮蔽と制動放射の対策は両立しやすいと考えられます。お手元に配布した資料では、「※化学繊維でも十分遮蔽できるはず。」と書いていますが、化学繊維では隙間があって、そこからX線を通してしまうので、できれば膜で遮蔽するのが適切だと思っています。
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次にこの図を見てください。万一X線をより確実に遮蔽するには、先ほどの通り厚い壁が必要です。この図は、去年のウィンターサイエンスキャンプのときに、あるチームがγ線の遮蔽について研究・実験をしたものなんですが、やはり鉄や鉛が(多少厚くなくても)十分効果を発揮しますが、その他にもチョコレートやアクリル、猫の砂、こんにゃくなど様々なもので実験していて、それらの物質も厚さが大きければ、十分に遮蔽することが出来ると言えます。つまり、この会場のような屋内では、γ線・X線の遮蔽は十分可能と言えます。

スライドは作っていない(当時)んですが、結論を、各種放射線の対策ということで付けていきたいと思います。
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原子力発電所から発生する放射線の対策としては、この結論で、身近なところで身近なもので防ぐことができると考えます。ご静聴ありがとうございました。

〈質疑応答(当時答えられなかったモノを含む)〉
①原発から生じる人工放射線核種のところで、セシウム・ヨウ素・キセノン・クリプトンの4つを挙げていらっしゃったのですが、原発から生じるセシウムは2種類あると思うのですが。
⇒(答)原子番号134のセシウムも、原発から発生しています。
②参考にされたところなんですけれども、北海道電力(放射線の紹介のところ)とウィンターサイエンスキャンプ(γ線遮蔽のところ)は、科学的・論理的に正しいと思うんですけど、「ストップ!浜岡原発」とはどのような団体?(会場笑)
⇒(答)東海地震が起こったときに浜岡原発が大事故を起こすのではないかと危機感を持った人たちが集まった、緩やかな結びつきの集団らしい。メンバーには、元原発技術者などの知識人もいるが、これだけでは信憑性不明かも。
※当時、私も頭を悩ませ、「どういう団体なんでしょうか…」と呟いてしまい、会場をまた笑いに包みました。
③γ線を遮蔽する実験が参考資料としてあったと思うんですけど、実験方式とかについて全く触れてなかったので。
⇒(答)鉛の中に放射性物質を入れ、それとNAIシンチレーター検出器の間に遮蔽物を置きます。シンチレーターでの反応は、オシロスコープで確認します
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④(中性子線)照射された物質を放射性同位元素に変えるといいましたが、具体例は。
⇒(答)人の血漿に含まれる質量数23のナトリウムが質量数24になる(中性子の数が増える)など。

〈講評〉
・(質問②に際して)今指摘された点は非常に重要なポイントでして、ネットから簡単に色んな情報がとれるんですけども、その情報が本当に正しいかどうかは、しっかり吟味しないといけないですね。天野くんが取って来た先がどうかということは私はちょっと分かりませんけれども、一般論として、ネットからの情報にはアヤフヤなものもあります。
・プレゼンテーションの中身ですが、ストーリーを自分で作っていただいて、そのストーリーに基づいてずっと話されてるという点は非常によかったと思います。それから、プレゼンテーションでは、論理性が無いとダメなんですが、論理に基づいてずっと進められたので非常に良かったと思います。そして、遮蔽っていうのは実は難しくて、遮蔽の為に物を置くと、そこから復た放射線が出てしまうという例を、ちゃんと指摘されてるのが非常に良かったと思います。
・あと、発展というか願わくば、例えばベータ崩壊に関しましては、β線は確かに出るんですが、β線だけというのは逆に稀なんです。ほとんどがγ線を出すわけです。遮蔽という観点からはそういうものを考慮しないといけない。それから中性子の話は、この辺にあるものは全部宇宙から降ってくる中性子で、Np反応とか出てきます。実はみなさんの周りにもたくさんありますし、コバルト59が放射線を当てたりするとコバルト60になるなど、中性子が他の物質に作用する例は実は沢山あります。


その後、併催された展示を見ました。ウィルソンの桐箱は、ドライアイスを入れることでα線の飛跡が目で分かるという装置なのですが、のちに参加賞として頂きました! また、放射線を照射して芽が出ないようにしたメークインも、なかなかの量を手に入れました。発表した事自体は非常に曖昧でしたが、数々の体験をしたと思います。
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